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産後すぐは不安や戸惑いも。今は順調な成長が素直にうれしい。

――今年の7月に男の子を出産されたということで、おめでとうございます。

ありがとうございます。

――もうすぐ4カ月ですね。現在はいかがですか。

本当にすくすくと育ってくれて、体重もどんどん増えています。毎日よく飲み、よく寝るという感じで、本当に順調に成長してくれています。

――それは良かったですね。やはり出産してすぐは、大変でしたか?

大変でしたね。私も初めてのことで不安や戸惑いもありましたし、最初は泣いていてもどうして泣いているのかも分からなくて、どうしたらいいのかと不安になった時もありました。でもずっと一緒に過ごすうちに、だんだん何を求めているのか分かってきました。おかげさまで、今は夜に続けて6~7時間寝てくれるようになりました。親思いのいい子です。

――最近テレビのお仕事などに戻られて、いかがですか。

あっという間に産休が終わり、もう仕事復帰?という感じで、家を出るときはかなり後ろ髪を引かれる思いがします。でも主人や主人の母のサポートのおかげで仕事復帰できるようになりました。今はこれまで以上に子どもとの時間が大切な時間になっており、帰ったら子供にべったりです。

やっと授かった喜びから、つらいつわりの日々。

――妊娠が分かったときのお気持ちは覚えていますか?

それはもう、うれしかったです。ずっと欲しかったものの、なかなか授かれなかったので、妊娠したと分かったときは喜びがあふれて、主人も私以上に喜んでくれました。

――うれしさとともに、妊娠すると、誰でも多少不安が芽生えてくると思います。杉山さんは妊娠中に何か不安を感じていましたか。

安定期に入るまではあまり人に妊娠を話せないですし、この子が順調にお腹の中で育ってくれるかも不安でしたから、「本当に大きくなってほしい」と願う気持ちが大きかったです。それと同時に、5カ月半ぐらいまで相当つわりもあったので、いつも元気というわけにはいかず、仕事の合間に休めるときには休んで、少しずつ自分の生活のリズムをスローダウンさせながら、自分の体をケアしていました。

――つわりが大変だったんですね。

大変な方に比べたら、私は大変じゃない部類に入るのかもしれないですが、でもずっと胸の辺りが気持ち悪かったです。仕事になると、気分が変わるからか少し軽くなったり、だいぶ気持ちで持ち堪えてシャンとするものの、やはり家に帰るとグッタリして横になりたいという状況でした。そのときから主人が家事をやってくれたり、サポートしてくれたり本当にバックアップが素晴らしかったので、精神状態の安定した幸せな妊婦生活を送れたと思います。

――それは素晴らしいですね。妊娠中の栄養管理やエクササイズなど、何か取り組まれたことはありましたか。

食べ物はやはり気にしました。つわりのときは食べ物の嗜好が変わって、酸っぱいものが食べたくなると言われますが、私もグレープフルーツやレモンが欲しくなりました。それにふだんあまり食べないイチゴやブロッコリーをやたら食べたくなり、そればかり食べていた時期がありました。本を読むと、イチゴとブロッコリーには葉酸がたくさん入っているということで、体が自然と必要な栄養素を欲しているのだなと、すごく驚きました。とはいえ、やはり気持ち悪くて、バランスよく食べようと思っても最初の頃はなかなかいただけませんでした。つわりも治まって食欲が出てからは、かなり家で自炊をしてバランスのいい食事をしようと心掛けました。仕事柄、外食が多かったんですが、おうちで作る回数がグッと増えました。

――栄養や食事など、妊娠・出産についての情報収集はされていましたか?

そうですね。情報収集のあまり、頭でっかちになったり、「これ取らなきゃ、バランスよくいただかなきゃ」と自分をはめ過ぎてストレスをためてしまうこともありますよね。そのあたりのバランスは大切だと思いました。でもやはりひとりの命を預かった、自分だけの体じゃないんだと思うと、そこに責任も芽生えたりして、いろいろな情報誌やインターネットを調べたりしましたね。

これ以上ない幸せな出産の時間。赤ちゃんに皆に「ありがとう」

――病院や地域で開催される出産前の教室には参加されましたか?

母親学級に参加しました。主人に仕事を調整してもらって、夫婦一緒に参加する教室にも行きました。

――出産に向かわれる準備は、何かされましたか?

選手の時から続けてきた呼吸法ですね。緊張したり、ストレスがたまったり、疲労物質がたまった時に、それらをほぐす方法をあれこれ試した中で、私には呼吸法が一番合っていました。それに選手時代にやっていたイメージトレーニングと合わせるんです。妊娠する前から、赤ちゃんがおなかの中にいるイメージトレーニングをしていました。実際に身ごもってからも、出産は未知の世界で実際とは違うかもと思いつつ、分からないなりに赤ちゃんが簡単にスルッと出てくるイメージをしながら、毎晩呼吸法をしていました。

――その毎晩の呼吸法とイメージトレーニングは出産時に役に立ったと思いますか?

はい、役に立ちまくりました。本当に自分が思っていたようなお産ができて、ドクターや助産師さんのチームワークが素晴らしく、本当に温かな雰囲気のなか、これ以上の時間はないというくらい素晴らしい時間をいただきました。LDR(陣痛分娩室:Labor Delivery Recovery)に入ってからはすべてがスムーズで、イメージしていた通りのスルッという感じの安産でした。35分という短い時間だったんです。

――それは素晴らしいお産でしたね。

やはり選手時代から使ってきた呼吸法のテクニックはお産でも役に立ったと思います。精神的な部分と肉体的な部分を、呼吸によって結び付けコントロールするんです。

――それからプレママさんが気になる「出産の痛み」。杉山さんはいかがでしたか?

もちろん産むときの痛みは想像を絶するものがありましたし、あの痛みはかわいい赤ちゃんが生まれてくると思わなくては耐えられない痛みだったと思います。ただ、やはり何ごとにも終わりがありますし、生まれてしまえば痛みも忘れてしまうぐらい、それ以上の喜びに満ちた時間が必ず訪れます。産後の楽しい時間をイメージしながら、それをエネルギーに変えて、出産に挑んでほしいと思います。とにかくスペシャルな時間ですよ。私は多分人生で1回のことでしょうし、皆さんもそう何回も経験できることではないと思います。大変だけど、すごく味わい深いものなので、丸ごと楽しんでもらいたいです。

――赤ちゃんが生まれた直後のお気持ちは?

とにかく健康で元気な子どもが生まれてきてほしい、その思いだけでしたので、生まれてすぐに元気な産声を聞けて、まずひと安心しました。自分の胸にポンと赤ちゃんを置かれたとき、赤ちゃんが思いっ切り泣いて、もう元気でかわいくて、「本当にありがとう」という言葉を赤ちゃんに何度も言いました。

そして立ち会いで隣にいてくれた主人が、私の代わりに思いっきり号泣してくれたので、主人にも「ありがとう」と言いました。本当に先生と助産師さんが素晴らしいチームワークで、温かな空間で出産することができたので、この時間にありがとう、元気に生まれてくれてありがとうと、本当にたくさんの「ありがとう」をいろんな方に言った記憶があります。

――聞いているだけで、幸せな気持ちになりますね。

今も思い出しただけでも、ちょっとウルッときてしまいそうです…。それだけ、自分にとってすごくいい時間でした。

授乳は母として至福の時間。ミルクにもこだわりたい。

――産後すぐに、初めてのおっぱいをあげたのですか?

はい、助産師さんが「初乳をあげましょう」と声をかけてくださいました。でも母が全然おっぱいが出なかったので、自分も出るかなと不安だったのですが、すぐにギュッと出て。それを、生まれたての赤ちゃんがくわえるんですよ。おっぱいに向かってくる姿に感動しましたし、すごく上手に吸って初乳をしっかり飲んでくれて、誰も教えてないのになんで分かるんだろうとビックリしたのを覚えています。

――おっぱいのマッサージを受けられたのですか?

それからはマッサージしながら母乳を出していく、そのプロセスが大変でした。最初はなかなか出が悪く、マッサージしないと乳房が張って夜も眠れない日もありました。「痛いよ」とは聞いていましたけが、こんな痛いのかとビックリしたくらい。でも、やはり赤ちゃんのことを思ったら耐えられるもので、その後スムーズに授乳できるようになると喜びに変わりました。それに赤ちゃんが一生懸命飲んでくれる姿を見ると、いとおしさも倍々に膨れ上がって、赤ちゃんとの結びつきをより強く感じられるものですね。これは母親の特権で、本当にこれ以上の時間はないなと思います。

――今はどのように授乳されてらっしゃいますか?

赤ちゃんがしっかり飲んでくれるので、母乳が足りないときにミルクを上げています。私は産前から母乳とミルクの混合でいきたいと考えていました。最初のころは病院に勧められた粉ミルクを使っていたのですが、さまざまなミルクがあると知って成分なども気になるようになり、赤ちゃんのお通じも改善したくて、いろいろ調べたところで、「すこやかM1」にめぐり合いました。

「すこやかM1」は成分も気にいっていて、赤ちゃんの飲みもすごく良いので、「これはいい」と思っています。やはり食べ物、飲み物は口から入って、体をつくるものですし、私自身も選手時代にかなりこだわってきた部分なので、赤ちゃんの口から入るものも相当こだわっていきたいという思いは初めからありました。

――「すこやかM1」のどんなところを気に入っていますか?

「母乳は完全食」と言われるように、栄養面はもちろん免疫力も、赤ちゃんにとってすごく重要だと思うんです。いろいろな粉ミルクを見たところ、なかなか母乳にはかなわないだろうと思ったのですが、「すこやかM1」はかなり母乳に近いのではないかと思っています。

――「すこやかM1」を飲んだ赤ちゃんの反応はいかがですか?

赤ちゃんはおいしそうにゴクゴクとよく飲みます。飲み方が全然違います。今は飲む力も付いてきたので、自分で哺乳瓶を支えながらゴクゴクって飲んでいる姿を見ると「たくましいな」と思います。「おいしい」というのが伝わってくるくらい、勢いよく飲んでくれるので、本当に気に入っているんじゃないかなと思っています。

――ご主人様やご両親もミルクをあげるときはありますか?

はい。主人も積極的に育児に関わってくれており、お風呂に入れたり、ミルクをやったりとすごく協力してくれます。主人の母もよく面倒を見てくれていまして、自らミルクをつくって飲ませてくれています。

――ミルクは男性も、疑似的にお母さん気分を味わえる、いいきっかけですよね。

そうですね。母乳をあげることは母親の特権ですが、パパもミルクをあげることで、赤ちゃんとスキンシップできて、近い距離で見つめられますよね。主人も、とても至福な時間だと言っています。

――ミルクを利用されて、「助かっている」と実感されることはありますか?

以前から「母乳だけ」と思っていないことがある種のストレスにならない点は助かっていると言えますね。私はもともと絶対に母乳だけで育てなくちゃいけないという気持ちがなかったんです。ママによっては「母乳だけで育てたい」という方もいて、ストレスになってしまう方もいらっしゃるかもしれません。「すこやかM1」はこだわって作られている粉ミルクですから、本当に母乳に近いという意味で、そういうママにも安心して使ってもらえると思います。その安心によって母乳の出が良くなるかもしれないですよね。頼ってもいいものがあるというだけで、気分的に全然違うのではないかと思います。

――「完全母乳のプレッシャー」のようなものは、杉山さんにはなかったんですね。

そうですね。私自身がミルクで育っていますから。ミルクでもこんなに元気で、選手時代もケガすることなく、本当に丈夫な子どもで、大きな病気もせずに育ったので、そういう意味でミルクに対する信頼感はすごくありました。でも、やっぱりミルク選びにはこだわりたい思いがあったので「すこやかM1」を使わせてもらっています。先日から仕事に復帰したこともあって、本当に助かっています。

育児には終わりがあるから今日よりも明日もっと楽しもう。

――調乳や沐浴など育児全般について、ネットで調べたりお勉強されたりしましたか?

最初は産院で実践しながら手取り足取り習いました。沐浴は主人と一緒に習ったのですが、今は主人が率先してやってくれて、私はほとんどヘルプするくらいです。

――ママ友などはいかがですか?

杉山さん 私と同じような女子のアスリートの会、略して「女子アス会」というのがありまして、去年から今年にかけてママになる女子アスリートが本当に多いんです。水泳の寺川綾さん、バレーボールの落合真理さん、バドミントンの潮田玲子さん、サッカーの大竹七未さんなどがそうですね。皆、子供が去年から今年に生まれたので、いろいろな情報を交換しています。まだ小さくて一緒に遊ばせたことはないですが、この先皆とお茶しながら、一緒に子供たちを遊ばせたいねと言っています。

――それは、これからが楽しみですね。

そうですね。やっぱり同じ立場の仲間がいるのはすごくありがたいことです。月齢が近い子どもたちと遊ばせたら、わが子はどんな反応するんだろうと楽しみです。これから楽しく遊べる環境をつくってあげたいと思っています。

――赤ちゃんの病気やアレルギーの対策など、何かやってらっしゃることはありますか。

まだ生後4カ月なので、外出してもあまり無理をさせておらず、人混みに行ったり、病気になるようなシチュエーションは体験させていないこともあり、今のところ元気で何の病気も患っていません。これからはアレルギーなど気を付けることも出てくると思いますが、あまり神経質になりすぎないように、しっかりと見つめてケアをしながら、育児していきたいと思っています。

産後のケアとともにトレーニングもスタート。

――ご自身のケアとかは何かされていることありますか。

やはり股関節や骨盤まわりが出産で緩んだせいか、ちょっとした痛みを感じる時があるので、しっかりと骨盤を閉めるトレーニングなどはやっています。とはいえ、産後すぐは2時間や3時間おきの授乳で本当に眠かったですし、一方で体力も回復しなくてはいけないので、産後2カ月くらいはかなり体力的に厳しかったです。でも2カ月半くらいから、まとめて6~8時間くらい寝てくれるようになったんです。夜にしっかり寝られるのは、かなり体力の回復につながりますね。そこからは私自身グッと元気になって、体力が回復したと実感しています。自分のためにも授乳のためにも食べ物をバランスよくいただくこと、あまりドカッと食べ過ぎないことなど気を付けていますし、トレーニングなどして少しずつ体を動かすようにしています。

――トレーニングとは、さすがに戻るのが早いですね。

いやいや。まだアスリートとして勝負できない状態だと思うので、がんばってまた元に戻したいという段階です。

母になってさらに感謝。実母の生き方と子育てを手本に。

――ご自身が親になって、ご両親に改めて感謝したり、ここは両親を真似たい、実践したいと思われていることはありますか?

私は母とずっと一緒に仕事してきました。これまでともに本当に濃密な時間を過ごしてきて、感謝してもしきれない関係なんですが、子どもを産むことによって、さらに感謝の気持ちが大きくなったと思います。

母は本当に楽しそうに育児や家事をする人で、母がやることは何でもエネルギッシュで、いつも楽しそうなんです。そんな母を見ていると、「本当にすごいな」と今でも思います。子どものとき、私が母のする家事を見て「やらせて」と言うと、母は「これは愛ちゃんが思うほど楽しいことじゃないのよ。最後までやってくれる?」と言うので、「やる!」って言ったんです。実際にやってみるとやはりつまらない。「なんでママがやっていることは楽しそうに見えるんだろう?」とよく思っていました。

母はおそらく育児のストレスをそれほど抱えることなく、楽しく私を育ててくれた記憶があって、私もずっと「ママ大好き」でしたから、その点は私の子育ての手本になっています。

40歳で子供を授かったこともあり、もちろん生まれてすぐは大変でしたが、子育て時期には終わりが来てしまうから今のこの時間を楽しもうと思えたり、ひとつひとつを大切な時間としてとらえて育児しようと思えるのは、母から学んだからでしょう。

――お子様が生まれて、お母さまとの関わり方は変わりましたか?

それほど変わっていませんね。お互いにつかず離れずの距離感が、すごく心地いいのです。結婚してからは私たち夫婦の生活ができ、母もすごく忙しい人なので、たまに会った時にたくさん会話をして、またそれぞれの生活に戻るという感じです。子供が生まれてからも、母は忙しいですから、孫にたまに会いに来てガッと可愛がって、赤ちゃんからエネルギーをもらって帰っていきます。

――お母さまはいつもお忙しくしていらっしゃるんですね。

そうですね。母は常にエネルギッシュで、自分のペースを大切にする人ですが、それでも毎日「赤ちゃんは今日どうしている?」と電話やメッセージをくれます。

――お母さまはテニススクールを通して、たくさんの子どもたちを育てていらっしゃると思うのですが、それについてお母さまに何か思われることはありますか?

母は根っからの教育者で、本当に子どもの持っているものを引き出すのが上手な人だと思います。子供ひとりひとりにしっかりと向き合い、相対評価ではなく絶対評価をして、決して人と比べることをしないところは、見習うべきところだと思います。本当に愛情深い人です。

――お母さまがやってきた育て方に習いたいというお気持ちは、やっぱり強いのでしょうか。

影響力はやはり一番だと思います。私自身も人と比べられることなく、私をよく見つめてくれて、私の良さは何なのか、私らしさは何なのかを見きわめ、そして尊重してくれたんです。決して押し付けることがなく、「あなたは何がしたい? あなたはどうしたい?」と聞いてくれました。忍耐力のいる子育て法だと思うのですが、ずっと待ってくれて、私の意見をしっかりと聞いてくれて、私を個として見てくれました。

 母は私を授かったときから「この子は社会からの預かりもので、いずれ社会にお返ししなきゃならない」という思いを持っていたそうです。今でも母といい関係が築けているのは、そういったことが大きいと思います。私もたくさんの愛情とともに子どもをしっかりと見つめながら、この子を尊重し、たくさんのいいものを引き出せたらいいなと思っています。